保険メーカー所属(一社専属)の保険営業マンのやりがい、また大変な点について解説します

保険の営業として一社専属の保険会社で働くことは人生の大きな決断だと思います。「転職して良かった」「この会社に入って良かった」「前職まででは得られない経験を積むことが出来た」「保険の営業をしていなければ出会えなかった人と出会えた」など、やりがいを感じる瞬間がたくさんあります。
一方で、どんな仕事でもそうですが、保険の仕事でも辛いと感じるときはあります。実際、筆者も一社専属の保険会社で働いていた時に、お断りが連続で続いてしまうと、やりがいを感じつつも、相応に大変な仕事だなとも感じていました。
このコラムでは、保険営業への転職を検討されている方に、一社専属の保険営業が体験するやりがいの側面と、それに伴う厳しい側面について、ご紹介します。「今保険会社からスカウトを受けており受諾しようか迷っている」「保険会社で働いてみたが大変に感じることもあり、他の人はどう思っているのか知りたい」というような方は参考にしてください。

1-1一社専属の保険会社とは
一社専属の保険会社とは、〇〇生命保険株式会社や●●生命保険相互会社のことです。2023年現在では42社の保険会社が日本には存在しており、一社専属の保険会社で営業職の方は約25万人が従事しています。保険営業(保険外交員)は正社員、契約社員、業務委託という働き方があります。正社員や契約社員は基本給+歩合給の会社が多く、業務委託は完全歩合制の報酬形態を採用している傾向があります。
保険会社の営業は新卒から勤務している方もいますが、多くは転職して従事しています。転職された方の前職は銀行や別の保険会社など金融機関からの転職は一部であり、別業界で営業されていたという方の方が多い印象です。また、営業職だった方が大半を占めるというわけでもありません。筆者の元同僚の前職はアパレルショップ店員、介護職員、野球選手、シェフ、新聞記者、専業主婦などなど本当に様々でした。彼らは求人募集から応募された方よりも、ヘッドハンティングなどスカウトを受け転職されていた方が多かったです。
1-2.一社専属の保険会社で働くメリット
一社専属の保険営業は、その会社のブランド力による信頼性や安心感に支えられながら会社のポリシーに従い、所属会社の保険を販売し、お客様との長期的な関係を築く役割を果たします。
入社してからお客様との面談に向かうまでには多くは1か月、なかにはそれ以上の期間で研修期間を設けています。販売資格の取得、交付までに期間を要するという理由もありますが、目に見える商材を販売するわけではない保険営業は知識やスキルが必要不可欠だからです。研修期間中には会社の理念について知見を高める研修も組み込まれていることもあり会社のブランド力や規模感を実感することになります。頻繁にある来客に対応できるようオフィスはとても綺麗で出社の気分を高めてくれることに一役買ってくれます。これは保険代理店のオフィスと比べると、オフィス、特に応接室への投資はしっかりされている傾向があります。会社の制度などもさすが大手企業というものが多く、安心感はありますね。
一社専属の保険会社で働くメリットの次に、やりがいを感じる瞬間についてもお伝えします。

1-3.やりがいを感じる瞬間
①お客様に貢献できる喜びがある
保険はお客様の人生にとって大事なサービスです。保険営業は、お客様の生活を守り、安心感を提供する役割を果たします。保険を通じて、お客様やその家族の生活、企業経営者のビジネスをお手伝いをすることは、非常にやりがいのある体験です。
実際に保険金をお客様に届けたり、入院した時に給付金をお届けした時にお客様から「保険に入っていて良かった」と言って頂けた時の「大事なお客様に貢献できた」という実感は、この仕事でしか得られないやりがいを感じられます。

②お客様からの信頼を感じられる
長期的な信頼関係を築くことは、保険営業にとって素晴らしい側面です。お客様のニーズを理解し、最適な保険プランを提案することで、お互いに満足感を感じることができます。

面談中、ご契約後のフォローアップで信頼関係を構築できていると、お客様からライフステージの変化があった際、例えばお子様を授かった時や住宅購入を検討される時には一番にご連絡を頂き、ご相談を受けることになります。また、信頼があってこそ大切なご家族やご友人をご紹介頂き新しい商談の機会に繋げてもらう事が可能になります。信頼の延長上でスケジュールがうまってくると、どれだけ忙しくなっても喜びが勝り行動力に繋がります。
③もらえる報酬に上限がない
保険営業の給与は、彼らが営業成績を上げることに応じて増加することが一般的です。成功すれば、高いインセンティブが待っています。これは、熱心に働くことに対する報酬として大いにやりがいを感じる要因です。
一般的に来月に給与が倍になることはボーナス月以外にはなかなかあり得ないことでしょう。インセンティブは青天井の会社もあり、法人契約など大きな契約や契約件数が多かった時の給与が100万円を超えることもよくあることです。
高い報酬を得ているということはその分お客様に貢献しているということでもあるので決して悪いことではありません。収入が働くモチベーションになる人には保険営業は向いている仕事だと言えます。

④保険・金融業界の専門知識の獲得
保険業界は絶えず変化しています。一社専属の保険営業は、業界の新しい動向や保険商品について学び続けることが求められます。金融、医療、介護、社会保障、為替、住宅、教育、経済などの業界ニュースや税制度、トレンドは仕事をしている時間で自然に入ってくるものもありますが、お客様とのご相談時に必要な情報になるので積極的に情報収集することになります。
例えば児童手当が2023年現在では中学卒業まで受給期間ですが、2024年12月からは高校卒業までに変更することをライフプランニングで反映させなければお金の計画自体に影響がありますし、その後の保険提案にも影響してきます。住宅ローン控除なども頻繁に変更のあるルールなので直近の住宅ローン金利の確認とともに常時確認する情報です。

⑤時間的な自由
保険営業は一般の会社員と比べ時間的自由度がかなり高いです。仕事が熟達してくると自分で時間をコントロールできるようになり一日、一週間、月の予定を自由にコントロールすることが可能です。これは保険営業の活動の裁量は個人に任せられているためです。(その分自身の責任は大きくなりますが。)時間的に自由に働けるということが転職の決め手になった保険営業マンはたくさんいます。
2-1. 一社専属保険営業マンの大変なところ
一社専属の保険営業としての仕事には、もちろん大変な点もたくさんあります。実際に仕事がハードということで入社を躊躇われる方もいます。以下にその例をいくつか挙げます。
①売上目標が常にある
保険会社ではほとんどの場合売上目標を設定します。これは保険営業個人からすると追うべき目標を設定できるというメリットもありますが一方でプレッシャーを感じる要因でもあります。達成しなければならない数字に焦りを感じることもあります。
保険会社に限りませんが営業職のオフィスでは月間売上を壁に張り出している会社も見受けられたりします。(特に営業キャンペーンの時に実施する場合がよくあります。)
②営業力(営業スキル)が求められる
保険営業は一般的にレベルの高い営業だと言われています。お客様の期待や不満を解決するためのコミュニケーションスキルやお客様の信頼を獲得することが求められます。保険は形がないものだから説明が難しいと言われています。はじめから「保険に入りたいです」と言う人はほとんどいません。保険の重要性や役割をしっかり理解している人も多くはないです。ですが日本人の9割は保険に入っています。みんな信頼できる人に相談したいと心の中で思って、大なり小なり信頼を感じた方と出会ったときに保険に加入されている傾向があります。

③スケジュール管理も自己責任で行う必要がある
働き方が自由であることは、逆に言えば自己管理能力が必要になってきます。

たくさんのお客様にアプローチすること、ご提案やご契約をしていくことには多くの時間がかかりますが、そういった仕事の管理も自分自身で行うことになります。
お休みを自分でスケジュールする、これが出来ないと休めないと錯覚してしまうので要注意です。休みを設定しなければ上長から労基の関係で注意を受けますが、成果がなかなか出ていないと休みを設けることが億劫になったりします。心身ともに良くない働き方になってしまうとパフォーマンスが下がるのは必須です。ワークライフバランスを保ち、時間と努力が報われるスケジュール管理が大切になります。
④お客様開拓が求められる
一社専属保険営業には、新規お客様開拓のために新しい人と出会い続けることが求められます。保険業界ではこれを「マーケット開拓」と呼びますが、ご面談やセミナーなどお客様に会い続けられる仕組みを如何に作るかが、保険営業のキャリアを長続きさせる上でのポイントになってきます。人に会うことが好きな人には向いている仕事ですが、ずっと新しい人に会い続けることに疲れてしまうという人には不向きかもしれません。
保険会社の中にも会社のホームページへの問い合わせの対応を任せられたり、退職者の方が担当していた契約者へのフォローリストがもらえる、業務提携など訪問先のある会社もあります。既契約リストなどの連絡、訪問できるリストがあることは新しい商品の切り替え提案や、近況を伺いながら追加の保険相談が見込める可能性があるため、保険営業マンにとって嬉しい点でもあります。

▼まとめ
一社専属の保険営業のやりがいやメリット、半面デメリットと感じる点を挙げてきました。いかがでしたか?これから保険営業への転職を検討する人にとってキャリア選択の参考になれば幸いです。また、既に保険営業に従事されている方は、これまでの振り返りや今後のキャリアプランを考える上で参考にしていただければと思います。
ファイナンシャルプランナーwanted!では例えば既存契約リストや業務提携案件など行き先のある会社を厳選して紹介するということも行っています。既に保険の営業をされていて困っている人、また保険業界への転身を検討中の人はカウンセリングやセカンドオピニオンを受けてみることもオススメします。