[FP/保険営業の相談]ありがちな失敗例⑤【結論を先に話さない】

はじめに

FPや保険営業には共通するありがちな失敗例(だけど本人は気がついていないケースがある)がございます。このシリーズではFP、保険営業の商談を聞く中で失敗しがちなケースについてお話していきます。

今回は【結論を先に話さない】です。結論を先に話さないとはどういうことでしょうか?

FPや保険営業の主な仕事は、お客様のライフステージや資産状況を把握し、最適なお金の計画を作ることです。これには、リスク管理や資産形成、節税対策など、多岐にわたる知識が求められます。お客様がより良い、安心感のある計画をつくりやプランの実行をしていくためには、FPから伝えるべき情報がお客様に正しく伝わることが非常に重要です。お客様にお金の話を分かりやすく正しく伝えるためのスキルをFPや保険営業には求められます。
一方で結論を先に話をしないFP/保険営業は多く、お客様に伝えるべき情報が正しく伝わっていない面談が発生しがちです。成績の良くないFP/保険営業ほど結論を話さない傾向にあったりします。そういった方は今すぐにでも話し方を改善していきましょう。

1.FP/保険営業での「結論」とはどういうことか
まず「結論から話す」とはどういうことでしょうか。
面談時の結論の例を挙げると以下のようなものがあることでしょう。
・65歳までに貯めたい金額が貯められます。ライフプラン作成時にお打合せした目標額に対しては8割くらいは達成可能な見込みです。
・特に心配されている病気のリスクに備えられる保険がこちらです。
・検討中の住宅を購入しても、債務超過に陥らないシミュレーション結果です。支出を厳しめにしましたが問題ありません。
・今の生活を少し改善するだけで、お子様の教育費が一人500万円ずつは貯められる見込みです。
・今と同じ保険料で、ガンになった時の保障を手厚くすることが可能です。
このような話をまずした上で、お客様にプレセンをしていますか?結論から始まらないプレゼンテーションはお客様に聞こえていても記憶には残らないので意識して面談にのぞみましょう。

2.結論を先に話すことの重要性
お客様とのご相談の時間を思い浮かべてください。その時に、お客様の悩み事が解決できるのかどうか、ということをはじめに伝えることで、お客様はその後の詳細な話を安心して聞くことが出来ます。はじめに結論を伝えないまま、説明を何分も続けられた時のお客様の気持ちを考えたことがありますでしょうか?このような時、お客様はFPの話が全く頭にはいらない状況ですし、大抵の場合結論が分からずストレスさえ感じています。。お金の話は範囲が広いため、ついつい長く説明してしまいがちですが、色々説明したい気持ちをグッとこらえる、お客様目線で結論からシンプルに話して行くことがFPに求めらる努力と言えるでしょう。

3.結論なく話をされるとどうなるか
・結論なくダラダラと話をされるとお客様は単純に疲れる
長引く説明は、聞き手にとって精神的な疲労を引き起こします。特に結論や具体的なポイントが明確でない場合、お客様は関心を持続させることが難しく、集中して聞いているフリをすることになります。お客様が集中力がない状態で話を聞いていると、重要な情報を見極めることが困難になり、必要な内容も見逃してしまう恐れがでてしまいます。
・専門用語が多く、結論ないまま話をされるとお客様は訳が分からなくなる
お金の計画、資産形成、保険に関する話題は、専門的な知識や用語が多様されがちです。これらの話題は本質的に複雑であり、特に結論がないと、お客様は情報を理解することが難しく、判断することができません。
こうした場合で肝に命じておくべきなのは、FPの話が分かりづらかったとしても「お客様はフィードバックをくれない」ということです。わざわざ「あなたの話が分かりづらいです」と親切に教えてくれることはありません。大抵の場合こうした状況ではお客様は「検討してご連絡しますね」という断りに近いお返事をされるはずです。つまり、こうした状況を経験したことがあるFPは自身の話に落ち度がなかったか、自主的に点検することが求められます。お客様が良くなかったと結論付けてしまうと、いつまでたってもFPとして成長できないという状況に陥ってしまうでしょう。

4.なぜ結論を先に話さないのか
結論を先に話さない人にはいくつかの要因がありますが、たとえば以下のようなことが考えられます。
・プレゼンテーションの基礎を身に付けていない。プレゼンテーションは立派なスキルの1つですが、しっかり学ぶ機会がこれまでなかった。また社内でロープレなどを実践していない。
・お客様が本当に解決したいことをそもそもヒアリングできていないので、何がお客様にとって求められる結論かFP/保険営業が自分でも理解できていない。この場合、例えば保険料を下げる、最新の特約の話をする、、なんとなく積み立ての話をするなど、末端の話に終始してしまう。
・設計書をそのまま説明すれば良いと思っている。設計書を1ページ目からしっかり説明することが正しいプレゼンだと考えている保険マンはとても多いです。お客様目線で、本当にそれが分かりやすいプレゼンなのか再考は必要でしょう。

結論を最初に伝えずにプロセスや詳細の説明から始めると、お客様は方向性を見失い、重要なポイントを見落とす可能性があります。

6.注意点
プレゼンテーション時に結論から話すことと共に注意しておきたいこともあります。それは、一気に全ての話をしないことです。設計書の細部まで説明してもお客様は混乱します。混乱し分からないものを契約することはありませんから、良い結果には結びにくくなります。
従って、「結論」、「重要なポイント3点」、「この商品のデメリットとその対応方法」など重要なものを優先にして話をまとめてから面談にのぞむことをおすすめします。お客様の理解が進んでから、詳細の部分も説明していきます。お客様が商品導入の効果やメリット、注意点の大枠をお客様ご自身でも回答できるくらい理解が深まってから、最後に詳細の細かい話をするくらいの感覚が妥当です。お客様自身がしっかりと判断して選んでいただけるように後押しするようにプレゼンを進めることがポイントです。
7. メリットを理解して結論から話すクセをつける
結論を先に伝えることで、お客様の関心を引き、その後の説明に対する理解が深まります。結論から話すことで相手に理解してもらいやすい伝え方、プレゼンテーションスキルの一つであるPREP法をご紹介します。

8-1. PREP法とは
PREP法(Point, Reason, Example, Point)は、プレゼンテーションスキルでありコミュニケーション技術の一つで、話すべきポイントを明確にするために役立ちます。まず結論(Point)を述べ、その理由(Reason)を説明し、具体例(Example)で補強した後、もう一度結論(Point)を繰り返します。
8-2. 具体例
構成とともに簡単な接続詞を意識することでPREP法で伝えることができます。
P. 結論を言い切る 
R. 「なぜなら~だからです。」
E. 「例えば~」
P. 結論をポジティブな言葉を添えて締めくくりましょう。
例えば、お客様に対して、退職後の生活資金として個人年金保険を勧める場合なら「老後資金の準備として個人年金保険をお勧めします。なぜなら、長期的な資金計画と税制優遇のメリットがあるからです。例えば、毎月1万円を積み立てる個人年金保険によって退職後も変わらない生活水準を保つことができ、現役の間は現在利用していない生命保険料控除の枠を活用できます。ですから、個人年金保険はお客様の老後の安定した収入源として最適です。」と説明します。

まとめ
結論を先に述べることは、お客様に明確なビジョンを提供し、それに基づいて詳細情報を提供することで、理解と信頼を築く効果的な手法です。FPと保険営業の専門家は、PREP法などのコミュニケーション戦略を活用して、お客様に最適な提案を行うことができます。
取り組み始めて最初は難しく感じるかもしれませんが、繰り返し練習することで身につくスキルです。ぜひ取り入れてみてください。